3月5日 裁量権の逸脱・濫用

3月5日 裁量権の逸脱・濫用

今日は、行政裁量が「違法」と判断される際の中心的な法理、「裁量権の逸脱(いつだつ)」「濫用(らんよう)」について整理しました。


行政事件訴訟法30条にも記されているこの言葉は、行政の自由な判断が「許容範囲」を超えてしまった状態を指します。学説上は厳密に区別されますが、実務上はセットで語られることが多い概念です。


1. 裁量権の「逸脱」とは?

法律が認めている裁量の「外枠」をはみ出してしまうことです。

例:法律では「最大6か月の業務停止」と決まっているのに、役所が勝手に「1年の業務停止」を命じた場合。これは物理的に枠を飛び出しているので、文句なしに違法(逸脱)です。


2. 裁量権の「濫用」とは?

裁量の枠内には収まっているものの、その「中身(使い道)」が著しく不当な場合です。

例:特定の業者をいじめるために、些細なミスでわざと重い処分を下した(目的違反)。あるいは、重要な事実を無視して判断した(考慮不尽)。




3. 裁判所がチェックするポイント

裁判所は、行政の判断が「社会通念に照らして著しく妥当性を欠くか」を見ます。具体的には以下のパターンが典型的です。


  • 事実の基礎を欠く:そもそも前提となる事実が間違っている。

  • 目的の逸脱:法律の目的とは無関係な私情や政治的理由で判断した。

  • 考慮の不尽・過大:考えるべきことを考えず、関係ないことを重視しすぎた。




今日のまとめ


  • 逸脱:「枠」の外に出ること(形式的な違反)。

  • 濫用:「枠」の中だが使い方がひどいこと(実質的な違反)。