
1月10日。今日は民法の債権総論の中でも、パズルのような論理性が面白い「相殺(そうさい)」を集中的に整理しました。
相殺は、お互いに債権を持ち合っている場合に、対当額で消滅させる制度です。一見シンプルですが、「どちらが先に言い出したか」「どの債権を武器にしたか」で結論がガラリと変わるため、行政書士試験でも事例問題の宝庫となっています。今日はその「武器の扱い方」を整理しました。
相殺を理解する最大のカギは、自分の持っている債権をどう呼ぶかの区別です。ここを逆に覚えると、記述式問題などで致命的なミスに繋がります。
「自分(自)から働(働)きかけるのが自働債権」と覚えると、図解したときの矢印の向きが迷わなくなりますね。
相殺はいつでもできるわけではありません。互いの債権が「相殺適状(そうさいてきじょう)」という、いわば「いつでも決済できる状態」にある必要があります。
| 要件 | 内容のポイント |
|---|---|
| ① 債権の対立 | 二人が互いに債権を持ち合っていること。 |
| ② 有効な存在 | 自働債権に抗弁権(期限の猶予など)が付いていないこと。 |
| ③ 弁済期の到来 | 自働債権の弁済期が来ていること(受働債権は期限の利益を放棄すれば未到来でも可)。 |
特に、学習者が必ず引っかかるのが「時効にかかった債権」です(民法508条)。
508条のポイント:
時効によって消滅した債権でも、その消滅前に「相殺適状」にあったのであれば、相殺することができる。
何でもかんでも相殺できると、世の中が物騒になります。例えば、殴って怪我をさせた人が「以前貸した金があるから、治療費(損害賠償)は相殺だ!」と言い出したら、被害者は救われません。
相殺は、単なる「引き算」ではなく、債権者同士の公平と決済の簡便さを追求した、非常に合理的なシステムです。
矢印を引いて数字を書き込む作業は、まさにパズルを解くような快感があります。行政書士試験本番でも、複雑な事例をこの「相殺の矢印」で整理して、落ち着いて得点源にしていきたいです。
次は、相殺と並んで債権消滅の重要論点である「弁済(代位弁済)」や、紛らわしい「更改・混同」の違いを一気に整理しましょうか?