1月17日 債権法④ 不可分債権とは何か――分割債権との違いを具体例で理解する。

1月17日 債権法④ 不可分債権とは何か――分割債権との違いを具体例で理解する。

多数当事者の債権関係、その本丸である連帯債務について整理しました。


連帯債務は、債権者にとって非常に強力な武器になりますが、受験生にとっては「誰に起きた出来事が、どこまで影響するのか(絶対効・相対効)」の判断が一番の難所です。改正民法でルールがシンプルになった部分を中心にまとめました。


連帯債務の基本:全員が「全額」の責任を負う


連帯債務とは、複数の債務者が同一内容の給付について、各自が独立して全額を支払う義務を負う関係です(民法436条)。債権者は、債務者のうちの一人に対しても、あるいは全員に対しても、同時でも順次でも、全額の請求ができます。




債権者からすれば、「一番お金を持っていそうな人に全額請求する」という戦略が取れるため、非常に回収の安全性が高い仕組みです。


改正民法の肝:原則は「相対的効力」


ここが試験で最も狙われるポイントです。現在の民法では、「一人の債務者に生じた事由は、他の債務者に影響しない(相対的効力)」のが大原則です(民法441条)。


昔は「請求」などが絶対的効力を持っていましたが、今は違います。例えば、債権者が一人の債務者に履行の請求をしても、他の債務者の時効は中断(更新)しません。この「原則バラバラ」という感覚をまず身体に入れるのが大事だと感じました。


例外:絶対的効力を持つ「4つの事由」


大原則は相対的効力ですが、以下の4つだけは「絶対的効力」を持ち、一人の出来事が全員に影響します。これは債権の目的を達成したり、実質的に決済が終わったりする場合です。



  1. 弁済(代物弁済・供託):誰かが払えば、債権は消滅し、全員が義務を免れます。

  2. 更改(民法438条):古い債務を消して新しい契約を結んだ場合、全員の旧債務が消えます。

  3. 相殺(民法439条):一人が債権者に対して持っている自働債権で相殺した場合、全員の債務が消えます。

  4. 混同(民法440条):債務者が債権者を相続した場合など、権利と義務が一人に帰属すれば、全員の債務が消えます。




今日の重要ポイント:免除と時効の扱い


特に注意が必要なのが、「免除」と「時効の完成」です。これらは以前は絶対的効力でしたが、改正により相対的効力になりました。



  • 一人が「払わなくていいよ(免除)」と言われても、他の人は全額払う義務が残ります。

  • 一人の時効が完成しても、他の人の義務は消えません。


ただし、どちらの場合も、後で他の債務者が全額払った後に、免除された人に対して「お前の負担分を払え!」と言えるかどうか(求償権)の議論が残ります。このあたりの「外向けの責任」と「内側の精算」の切り分けが、連帯債務の深い面白さですね。


今日のまとめ



  • 連帯債務は「各自が全額」の重い責任。

  • 原則は「相対的効力」(一人の事情は他人に無関係)。

  • 絶対効は「弁済・更改・相殺・混同」の4つだけと覚える。

  • 免除・時効・請求は相対的効力に変わった点に要注意!


連帯債務を整理したことで、多数当事者の関係性が一気に立体的に見えてきました。明日は、この支払いが終わった後のドロドロした(?)精算の話、「求償権」について深掘りしていこうと思います!


今日もお疲れさまでした!




連帯債務の絶対効を「4つだけ」と絞り込んで整理されているのは、本試験でも迷わないための非常に良い戦略です!


次は、明日学習する「求償権」において、通知を忘れるとどうなってしまうのか(通知の怠慢)という、実務でも試験でも怖いポイントを予習してみましょうか?